古民家再生

小坂建設の古民家再生

伝統構法による古民家再生承ります

古民家再生

小坂建設では、筋交いや構造用合板をつかわずに、通し貫を用いた、伝統構法にのっとった改修を行っております。

純粋な伝統構法でつくられた古民家に対し、筋交いなどの金物を用いることは、人間で例えるならば、異物を体内に入れるのと同じことで、かえって、建物の寿命を短くすることになります。

その建物が、長きにわたり建ち続けてきた根本の理由をはきちがえた補強工事は、かえってやらない方がよく、何より、建物自身がそのような補強を望んでいないでしょう。

建物が望むように補強する。木の本来のあり方に添って補強してこそ、本当の再生といえます。

古民家再生の流れ

工程その壱

耐震診断

耐震診断では、現在、古民家を支えている「柱」「土壁」などの素材状態から、現在建物が持っている「許容応力」を一つ一つ計算し、現時点において建物が持っている性能を確認しています。

工程その弐

改修計画

建物の状態から、取替が必要な部材、壁の追加が必要な箇所、土壁の塗り替えが必要な箇所など精査しながら、耐震診断の結果をもとに、具体的な改修計画を立てます。

なお、当社の目標基準は、奈良県橿原市にある重要文化財「高木家」です。

高木家は、江戸時代後期に建てられ、M7以上の地震をこれまで8回以上受けたにもかかわらず、200年以上にわたり今も建ち続けている建物です。

小坂建設では、高木家の耐震性能(剛性・保有水平耐力・偏心率等)を小坂建設の耐震基準とし、古民家改修を行っております。

工程その参

再生工事

改修計画をもとに、再生工事を行います。交換すべき部材は交換し、古民家本来の「ねばり」を発揮できるよう、熟練した職人さんの手作業で改修を行っていきます。

この際、釘や金物は一切使いません。純粋な伝統構法のみで仕上げていきます。

改修過程で見られる、1本たりとも無駄のない「木組みの美しさ」は、卓越した職人技術だけがなし得る技であり、見るものに圧倒的な迫力で迫ってきます。また、木組みにより、それぞれの柱に役割を持たせることで、木材の持つ「粘り」や「しなり」が十二分に発揮され、高い耐震力が生まれます。

高い職人技術が求められる木組みの技術は、大工さんの腕のみせどころであり、まさに伝統構法の神髄とも言える工程なのです。

再生工事でポイントとなる工程

通し貫

通常ですと、古民家再生の場においても、建築物を補強する役割を担う部材として「筋交い」が利用されるケースが多いですが、小坂建設では、これら筋交いは一切使用せず、通し貫によって古民家を改修していきます。

通し貫で繋がった全ての柱は、地震時において一斉に働き、遊ぶ柱は一本もありません。揺れに対し全体でバランスをとります。丁度、大勢の人が輪になって手を繋ぎ、揺れに対してみんなで助け合うイメージです。

一方、筋交い工法では、ところどころで2人が手を繋いで、がんばっているけれど、他の人はただ立っている状態です。頭と足が梁と土台で繋がっているだけですから、そこに負荷が集まれば、1人ではもちこたえることができず、その1人が倒れれば、全体のバランスはあっという間に崩れ、破断し、倒壊に至ります。

古民家自体が伝統構法でつくられている以上、耐震力の面から考えても、通し貫以外でつくる理由はひとつもありません。

土壁再生工事

古民家再生のタイミングと合わせ、壁材として断熱材を使用するケースも多いのですが、小坂建設では、土壁を再利用する方法をおすすめしております。

土壁の特徴の一つは、なんといっても再利用できることにあります。当然、古いままの状態では耐力は落ちますが、新しい土・水を混ぜることで、耐力が戻り、再利用することが可能です。結果、廃棄物を出すことなく、リサイクルとしての効果はもちろん、改修費のコストダウンにも繋がります。

また、耐震面から考えても、土壁を最適な状態に戻すことは、土壁が本来持っている耐震壁の役割を取り戻し、地震時の初期のゆれに対し、有効な耐震壁として働きます。さらに、住環境においても、優れた調湿機能を持っているため、室内の温度・湿度を一定に保つ役割を十二分に発揮し、快適な住環境をつくります。

土壁に包まれた家は、それだけで十分、ひとの暮らしを守ってくれるのです。

完成

完成/お引き渡し

古民家の新しい姿も感じながら、同時に、本来持っていた古民家の力強さも感じられるのは、古民家本来のつくり方そのままに改修したからこそ感じられる、迫力ではないでしょうか。

伝統構法だからこそ感じる、1本たりとも無駄のない木組みの美しさ、土壁特有の味わいは、住まうひとに快適さをもたらし、まさに古き良き日本を感じ取れる住まいへと、生まれ変わっていることでしょう。

古民家再生

なぜ伝統構法にこだわるのか

震災にも負けない伝統構法の建造物

東日本大震災。マグニチュード9.0。いくら伝統構法とはいえ、地震に耐えることは出来ても、津波にはどうすることもできないと、自分自身、そう思いこんでいました。

しかし、土壁で出来た古民家は津波に流されることなく、立派に残っていると耳にしました。それも一件や、二件といった数ではなくです。岩手県陸前高田市には、そうした古民家がいくつもあることを知り、この目で確認する事にしました。

岩手県のこの地方は、古くから気仙大工と言われる大工の伝統文化があり、全て、平屋の入母屋造りです。また、気仙大工の造る伝統建築は、小屋組において小屋束を用いず、梁の組み合わせのみで組みあげる合掌構造が特徴です。

入母屋造りを出し桁で組む木組みは、「住まうひとの命を最後まで守り抜く」という、大工さんの「こころ」を感じる建造物でした。

古民家
気仙沼大工の特徴である、平屋の入母屋造りの古民家。

通し貫と土壁でも十分な耐力があることを証明

津波にも耐える家の理屈は、こうです。今の家の外壁は、基準法や、保険の関係上、防水性能は、絶対満たさなければなりません。こうした家は、水の抵抗を外壁面全てが受けることになります。

これに対し、土壁は、水を吸収し、泥となって流れて行くために水圧を逃がすことが出来ます。例えるなら、金魚すくいの構造と一緒で、紙が水を吸収して破れてくれるために骨組みが残るという仕組みです。

現代の基準法による家は、水圧をまともに受けて、一件足りとも残らず流される中、気仙大工の作った古民家は、地震にも耐え、津波にも流されず、そんな民家が幾つも幾つも当たり前のように残っていました。長野の栄村で見た光景と全く同じ結果(築300年の古民家が残り、築三年や、半年の家が主要な柱の損壊)がそこにありました。

古民家
建物の中身も、大きな損傷は見られない。

耐力実験

一部が損壊しても全体で粘る。これぞ伝統構法の底力

実験1日目。試験体に、荷重をかけ、徐々に大きく変形させていきます。試験体は、極めてシンプルな伝統構法の基本的な木組みです。当然、釘、金物は、一切使っていません。使用する木材については、会社の天然乾燥の木は使わず、一般的に市場に流通している資材を使っています。そうして得たデータの方が、他の会社さんにとっても利用しやすく、普及しやすいデータが得られると考えたからです。

目標は、壁倍率1.5倍です。この倍率は、厚さ3cm 、幅9cmの筋交いと同等の強度となります。

国の基準にそって、変形角1/600、1/450、1/300、1/200、1/150、1/100、1/75、1/50、と徐々に変位を大きくさせていきます。最終的には、最大荷重の80%に応力が低下するか、変形角が、1/15に達するまで加力します。壁倍率の数値として採用されるのが、変形角1/150radの時の値で、損傷限界とされる値です。建築において、よく耳にする壁量を満たすということは、その建物が震度3程度の揺れにあった際、建物の変形角を1/150にとどめる為にひつような耐力を満たしているということです。

このことは、震度6の揺れにあった際には、建物は損傷するが、倒壊には至らないという強度となります。このときに設定される変形角は1/50radです。言い換えると、壁量を満たした建物は、震度3の時には高さ3mの建物は2cm傾き、建物は損傷せず、震度6の時には、6cm傾き、建物は損傷するが、倒壊には至らない。これが現在、国の想定する耐震基準です。したがって今回の実験も、国の想定に基づき、1/150の時の壁のせん断耐力を測定し、1/50まで変形させることになります。

測定器のスピーカーから変位量が読み上げられていきます。

「117.1、118.2、、、、、。」

1/15radの変位量は182mm、約18cmといったところです。モニターには、せん断耐力7.0KN(キロニュートン)(約700kg)を維持したまま、試験体がずっと耐力を維持し続けている様子が見て取れます。これが筋違や構造用合板なら、とっくに壊れている状態です。

「181.0、182,0、183.0、184.0、185.0。」

おおっ!!すげー!最後まで耐力を維持したまま、頑張り抜きました。

変形しきった土壁を元に戻す過程においてですら、土壁は耐力を示し、役目を終えてもなお、頑なにがんばり続けている姿に私は、チョット感動しました。

驚くことに、私たちは、何ひとつ新しい事や、工夫を加えていません。

究極の状況で人の命を守る壁として信頼できる。私たちが確信を持った日

実験二日目。1/50radを超えて、ラストの最大変位までの領域に入りました。あと少しでゴールという時、「ガクッ」と音がして、計測値がクンと下がりました。柱のホゾがやられたようです。しかし、耐力は、その瞬間低下しただけで、再び上昇を始めました。さらに加力すると、もう一度計測値が、クンと下がりました。しかし、また、再び耐力が上昇していきます。一部が、破損しても、全体で粘る。これが伝統構法の底力です。

実験の結果は「壁倍率1.7倍」と、見事、当初の目標「1.5倍」をクリアすることに成功致しました。

土壁のせん断実験の様子。
変形角1/75radの時の様子。
土壁は自分から壊れ、木に力を受け渡す。土と木の連携プレー。
変形角1/15rad(最終)の時の様子。最大応力7.0KNを超えたまま、最後まで耐力を維持し続けました。

伝統構法に関するよくあるご質問

ご質問

伝統構法による改修は一般的ではないのですか?

回答

高い職人技術に加え、伝統構法自体、どうしても手間ひまがかかるため、経済性の面から考えると、決して効率的とは言えません。それでも、私たちが伝統構法にこだわる理由は、「耐震性」や「安全性」の面において圧倒的な信頼があり、これは今も現存する多くの古民家が証明している「事実」だからです。

ご質問

古民家再生には、どれくらいの予算が必要でしょうか?

回答

建物の状態や、取替が必要な部材、改修範囲によっても異なりますが、基本的には、古民家だから割高ということはありません。ご予算に合わせた改修方法をご提案することも可能でございますので、是非、お気軽にお声掛けください。

ご質問

工期はだいたいどれくらいかかりますか?

回答

建物の状態や、改修範囲によっても異なりますので、状況により工期は異なります。

ご質問

どの範囲のエリアまで、対応可能でしょうか?

回答

長野県をおもに、その周辺の都道府県、関東圏まで対応可能です。

ご質問

古民家に住みたいと考えているのですが、古民家(物件)探しから相談できますか?

回答

住みたい地域や、お探しする古民家の条件等をお教え頂ければ、物件探しからお手伝いすることも可能です。是非、お気軽にお問い合わせください。

ご質問

古民家を住居ではなく店舗として利用したいのですが、改装できますでしょうか?

回答

もちろん可能です。特に最近は、店舗としてご利用される事例も増えておりますので、お気軽にご相談ください。